コロナ対策を万全にし、解剖のみで食べないこと。「食べる!イカの解剖実習」に対し、すでに5年連続で実施している横浜市立南高等学校附属中学校から、今回初めて出された条件でした。
「本当なら食べて欲しい。それ以上に今はイカに触れて身近に感じてもらいたい」協会としての思いから、学校側の条件を快諾させていただき、今回の実施となりました。
教室のドアと窓が開け放たれ、清浄で気持ちの良い風が吹き抜けていきます。更に 密にならないように考えられた座席の指定。先生のご配慮で、安全に安心して授業に集中することが出来ました。
地学実験室での解剖実習とは、予想もしなかった場所での実施でしたが、これまでも調理実習室、生物実験室と渡り歩いており、全く問題はありません。むしろ今までの教室には無かった、ずらりと並んだ顕微鏡に期待が膨らみます!
今までと違うアプローチは全部で3つ。口から肛門までが一本の管でつながっていることを確認する実験は、いつもなら醤油を使うところを赤いインクを使い、流れもはっきり確認できます。過酸化水素水をエラに垂らし、イカの血液は青白いと確認することも、食べないからこそ出来ました。
食べないことが前提となったら、もう触りまくりの捏ねくりまわし状態に。あちらでは皮をどれだけきれいに剥けるかの競争、こちらでは完全な解体の結果を整然と並べてみたり。
今年も、不漁と下がらない価格に悩まされているイカ釣り業界ですが、協会の威信をかけて例年通りに鮮度抜群のプリップリのイカを用意しました。複雑な気持ちもしましたが、みんな楽しそうに興味を持って遊んでいる姿を見て、食べなくても伝わるのものもある。そう感じました。
いつもは流行のイラストや言葉で埋め尽くされるイカ墨での落書きも、今回はなんだかやるせない。
新しい試みとして、学校が用意していたのは顕微鏡でした。
それまで手に取っていじり倒し、生々しさを含めた全容を認識したつもりになっていたイカ。その一部が切り取られ、顕微鏡で覗いたミクロの世界は、想像を超えていたようです。
さっきまで友達と騒いでいたのに、外部から遮断された顕微鏡の視界に入った途端、その世界に夢中になって一人静かに感動している。という場面を何度も見ました。
今年から、アンケートの質問を追加しました。また、例年通り、解剖実習の前に、DVD「船上凍結イカの生産(制作:全国イカ釣り漁業協会)」を座学で観てもらい、日本のIQF(個別急速冷凍)技術について等を事前に学んでもらっています。
回答者 150名