昨年に引き続き、横浜市立南高等学校附属中学校にて「食べる・いかの解剖実習」に小木産の「船上一尾凍結イカ」を教材として提供しました。
以前は先生のポケットマネーで食用には向かなくなったイカを仕入れ、解剖をしていたそうです。しかし生徒から「生臭い」などの声が多く聞こえてきたことから、「これでイカを食べなくなってしまわないか、と心配だった」と同窓会の石川会長からお聞きしました。
イカを提供した理由の一つに、「解剖したイカを食べる」という、当協会の川口会長が出した条件に同意して頂けたことが挙げられます。これがなかなか難しく、都内の中学校で同じことをしようとしても諸事情があり「現段階ではまず無理」なんだそうです。
しかしこの学校でも事は簡単に進んだ訳ではありません。
そういった問題に対して担当の先生方は学校長が認める解決案を出したことで前回実現に至った経緯があります。その結果は「いか釣り通信vol.01」に書かれていますが、生徒からも保護者の方からも高評価を受けました。
そして今回は一歩前進して、「調理実習室での解剖」が実現しました。これは「食べる」ということの重要性を先生方が理解してくださった結果です。
前回の実習と大きく違う点が3つありました。
それは「DVD」「服装」「道具」です。
今回から、イカの生態だけでなく「いか釣り漁業」についても事前授業で説明させて頂ける事になりました。
昨年当協会で制作したDVD「船上凍結イカの生産」にて、実際に解剖で使うイカがどのような漁で獲られ、冷凍され、港に水揚げされるのかを映像にて確認してもらいます。
更に、いか釣り漁業の現状等の説明や前回の実習授業の様子を加えたものを上映して頂けるよう先生にDVDをお預けしました。
後で生徒さん達に聞いたところ、「生産て大変なんだと思った」や「自分が食べた物がどうやって獲れたかを知るって重要」等の感想が出ました。
続いて服装ですが、昨年生物室で行った際、生徒さん達は白さ輝く白衣を着ていました。まさに「解剖」するぞといった出で立ち。ところが今回、調理室に現れた姿は、学校指定の紺の体操着(上のみ)に変わっていました。
先生方のお考えは全く別だったかもしれませんが、白衣でもエプロンでもない「食育」の授業としての装いのような気がしました。
一番画期的で、印象に残ったものが道具です。今回はキッチンばさみを使用しました。食べることを考えると解剖ばさみではなかろう、という判断だそうです。教科を超えることは、先生方にとっていかに大変であるかを、ここで改めて実感しました。
今回はイカアレルギー、タマゴアレルギーの生徒はゼロでした。
今年もケンコーマヨネーズ株式会社のご好意により、マヨネーズをご提供頂きました。
更に今回からはアレルギー対応商品「ノンエッグ・マヨネーズ」をご用意頂きました。
結果としてアレルギーの生徒がいなかったことから、ノンエッグは開封されていなかったようですが、みんな興味津々で見ていました。いまは問題なくても、いつ発症するかわからないのがアレルギー。こういう商品があると知るだけでも、気持ちは楽になりますね。
今年から新たな試みとして、いか食についてのアンケートを取る許可を頂きました。それだけでなく、実はこの授業を受けた生徒さんが成人式のお祝いで学校に集まった際に、全く同じアンケートをさせて頂けるよう、同窓会にもお願いしてあります。
この授業をきっかけに、イカに対する考えに変化があったかどうかを調査します。興味深い結果が出るのではないかと期待しております。初回の結果発表は6年後です!
回答者 156名
都内の公立中学校では無理と言われた「食べる・いかの解剖」の2回目を無事終える事ができました。 学校関係の皆様方のご尽力で、第1回から更に進化したものとなりました。 アンケートの最後、「イカの漁獲量に関心はありますか」の「はい」の数字が次回はもっと増えるよう、協会としては今後も新たな取り組みを模索したいと思っております。