ハマの料理教室(一般社団法人ヨコハマイチバ主催)「(おさかなマイスターが教える)イカの解剖&イカ料理」の回に、当協会から小木の「船内一尾凍結いか」を提供いたしました。
皆様ご承知の通り、長引くスルメイカの不漁により船上凍結イカの価格も、依然高値が続いています。そんな中でイカを提供出来たのには理由がありました。実は当初6月開催予定だったので、値段高騰の影響を受けていないうちに確保。ところが会場の都合で開催が延期となり、その間、横浜市中央卸売市場の冷凍庫の中で出番を待っていたのです。
実習に入る前にイカについての解説がありました。生物学的特性、資源としての現状、価格変動が一目で分かる統計表が資料として配布されました。それらの説明を行ったのは、一般社団法人漁業情報サービスセンターの緑川氏です。特に価格変動に関してはみなさん強く関心を持たれた様子で、主婦の方から「高ければ買わなければいいではなく、理由を理解することが大事なのね」との声が聞けただけでも今回実施した意味はあったのではないかと思いました。
解剖の説明に入ると、男性だけでなく女性の目も期待でキラキラしていました。それもそのはず、参加者の多くは「イカの解剖」が目当てで来たと言うではありませんか。あるグループにお話を伺ってみると、某水族館のボランティア仲間で参加したとのこと。「キモチワルーイ」なんて声が出ないはずです。
ペタペタと触ってはひっくり返し、「ここは肝臓?」「心臓ってどこ?」と、実に楽しそうでした。以前、解剖実習をした中学生達よりも興味津々だったかも!?
用意した、解剖の器具としては頼りない備え付けのキッチンばさみに皆さん苦戦していたようですが、そこは大人力。各テーブルでそれぞれ工夫し、どんどん切り進んで行きます。
醤油をスポイトで口球から流し込み、各臓器を通って流れる様を確認します。上手くいけば醤油は肛門から排出されるのですが…なかなか難しいようです。
確認する部位・ポイントは下の通り。
解剖の様子を見ていて、「今日、料理は脇役ね」と苦笑いしていた料理担当の大貫氏ですが、実験で知的好奇心が満たされると、空いてくるのがお腹です。皆さん口々に「早く食べたい!」とスムーズに調理へと移行しました。
他にもイカを余すところ無く使った料理として、
■ イカの塩辛(ゲソとワタを利用)※事前に用意
■ イカの揚げ餃子(解剖したものをミンチにして)
■ 茹でたゲソ(マヨネーズ、七味をお好みで)
などが急遽用意され、振る舞われました。
蒸し、炒め、揚げ、茹で、発酵(塩辛)。同じイカを使っていますが、テーブルに並んだ料理はどれも個性豊かで、見た目も全く飽きさせません。もちろん味も食感も、一つの食材であることを忘れてしまっていたくらいに、バラエティにとんでいました。色々な料理を食べたという充実感と、肉を全く食べていないとは思えない満足感、そして安心感。(イカはヘルシー!)
参加者も、非常に満足した様子でした。