3度目となった、横浜市立南高等学校附属中学校での「食べる・イカの解剖実習」に、今年も小木産の「船上一尾凍結イカ」を教材として提供しました。
イカを提供する条件の一つは、当協会の川口会長が出した提案、「解剖したイカを食べる」に賛同して頂けることです。担当の先生が変わると方針も変わるのは当然ですが、今年は校長先生が変わったと聞いていたので、「食べる」に許可が下りるか不安でした。しかし先生方のご尽力により、例年通り行われました。
この「解剖したイカを食べる」ことがなぜそんなに難しいかと言うと、下に挙げるような壁があるのです。
これらを一つずつ解決した結果、
という方法で実施が可能となりました。
今年も制服の上にジャージを羽織るというスタイルでの実習。そしてこちらも昨年同様、解剖ばさみではなくキッチンばさみが用意されていました。初回の様子と比べると、同じことをしているのに随分と違って見えます。
教材提供のもう一つの条件として、当協会が制作したDVD「船上凍結イカの生産」を観てもらい、いか釣り漁業の現状やイカの生態について座学の補助授業の実施をお願いしてあります。こういった取り組みで、我が国では年々消費が減っている水産物への関心を、子供の頃から持ってもらえたら…というのが協会の願いです。
不思議なもので、授業を受ける生徒さん達は毎年異なるのにも関わらず、先生やお手伝いする人たちが三回目ともなると指導に慣れてくるのか、全体的に手際よく解剖を終わらせる班が増えてきました。そこで、イカを茹でてもらう順番待ちの間に、おさかなマイスター※1達が本領を発揮!
同窓会副会長でおさかなマイスターアドバイザーの山形氏が、イカ墨についてのうんちくを熱く語っていると、生徒さんが集まってきます。
「セピアって言葉は知っているよね?でもこのセピア、イカ墨のことだって知ってる?」
「万年筆のインクの色でもセピアっていったらこの色なんだよ」と墨袋を開いて先ほど抜き取った軟甲の先に墨を付けて文字を書いていきます。
絵の上手な学生さんに指名がかかると、おもむろにペンを取って人気のキャラクターをスラスラっと描いていきます。気付くとあちらでもこちらでも、お絵描きで大盛り上がり。(苦笑)
こうした、生物とも食とも関係のない雑学であっても、その知識がいつか魚食に対する興味に繋がって行くことを期待しています。
こちらも3回目となる「イカに関するアンケート」と、今年初めて行ったマヨネーズに関するアンケート
この授業を受けた生徒さんの多くが、卒業後に同窓会が主催する、成人式の集まりに参加することが予想されます。自分で食事を選べる年になってから、再度同じアンケートを行う予定です。
また、その数が年々増加して社会問題になっている食物アレルギーに対応したマヨネーズ(正確にはノンエッグマヨネーズタイプ)ですが、卵アレルギーを持っていない生徒さんにも味見をしてもらい、実に興味深い結果が出ました。
まず、得票数が一番多かったのが「どちらも同じくらい美味しかった」で48%。次に「アレルギー対応の方が美味しかった」30%。ということで「普通のマヨネーズの方が美味しかった」28%が最下位という結果に。ノンエッグが美味しい理由としては
普通のマヨネーズが美味しい理由として、
という回答があり、特に「コクがある」、「コクが無い」という表現が目立ちました。「コク」は油やアミノ酸や糖分が合わさったものと言われることもありますが、実は明確な定義や科学的な根拠はないとされています。もちろん味の濃さなどでもありません。「味の総和である」というのがしっくりくるかもしれません。つまり基本5味(甘味・旨味・苦味・塩味・酸味)のバランスの良さが「コク」を感じさせているとするならば、生徒さん達はノンエッグの「足りなさ」を感じ取りながらも、それが「美味しい」と言っていることになるのです。実に面白い結果だと思いませんか?
回答者 156名
本協会だけでなく、漁業・水産関連団体は総じて同じような問題を抱えています。 アンケートの最後、「イカの漁獲量に関心はありますか」の「はい」の数字が次回はもっと増えるよう、協会としては今後も新たな取り組みを模索したいと思っております。