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イカの生物学的な特徴
イカは攻撃的な肉食動物であり、コウイカはエビ類や小魚を捕食し、スルメイカの仲間はオキアミ類などの浮遊性甲殻類や魚類を捕食しています。イワシやサンマなども成長に伴って捕食することが分かっています。一方、イカは海獣類(オットセイ等)やマグロ類、サメ類、歯鯨類に捕食されています。
イカは鰓に対の心臓が2つ(鰓心臓)と本来の心臓の計3つあることが分かっています。また、スルメイカやケンサキイカは標識放流調査等から寿命が1年とされています。
※ マッコウクジラとダイオウイカが深海で格闘している挿絵などがみられますが、マッコウクジラの体力と強力な顎と歯の前ではダイオウイカが一方的に捕食されているというのが正解かもしれませんね。
スルメイカ
- スルメイカ
- Todarodes pacificus Steenstrup,1880
- FAO名(英)
- Japanese flying squid
- 市場名
- マイカ、マツイカ、ムギイカ、トンキュウ、ガンゼキ(地方名)
- 外套長
- 30cm
外套膜は筋肉質で外套膜の背中線上に暗色の縦帯がある。鰭は幅広の菱形である。漏斗溝には縦溝があるが、側部のポケット様襞はない。漏斗軟骨器が⊥型。腕の大吸盤角質環には鋭い歯があるが、基部寄りの縁は平滑。雄の右IV腕の先端部はやや偏圧され櫛歯状の肉嘴列となる。触腕の大吸盤には鋭い円錐形の歯と低い板状の歯とが交互に並んでいる。最南端の記録はホンコン。北限はカナダの記録がある。
[A.背面 B.交接腕] A:堀川博史(土佐湾) B:Sakaki(1929)
出典:「世界イカ類図鑑」 奥谷喬司 著
アカイカ
- アカイカ
- Ommastrephes bartramii(Lesueur,1821)
- FAO名(英)
- Neon flying squid
- 市場名
- ムラサキイカ、バカイカ、クロイカ、ゴウドウイカ
- 外套長
- 45cm
体はスルメイカ型で、肉厚、外套膜前方は殆ど円筒形。外套膜の背中線上に幅の広い黒帯があり、その両側は赤い線で縁取られている。鰭は横長の菱形、漏斗軟骨器は⊥型。漏斗溝には縦溝とポケット状側襞がある。腕は強く、保護膜は発達している。III腕の泳膜は特に高く三角形状に張り出すのみならず保護膜も拡大発達する。大吸盤の角質環には鋭歯が30前後ある。雄の右又は左のIV腕が交接腕に変形している。触腕掌部の大吸盤の角質環歯のうち90°ごとにある4歯は強大である。外套膜腹側の肉質内に糸状の発光組織が不規則に分布していて、密な処では網状になっている。世界の温帯域。
[A.背面 B.交接腕] A:遠洋水産研究所(南西太平洋) B:Lu(Hollis)(1998)
出典:「世界イカ類図鑑」 奥谷喬司 著
ヤリイカ
- ヤリイカ
- Loligo(Heterololigo)bleekeri Keferstein,1866
- FAO名(英)
- Spear squid
- 市場名
- ササイカ、サヤナガ、テナシ、テッポウ、シャクハチイカ(地方名)
- 外套長
- 40cm
体は極めて細長く大型。鰭は縦長の菱形で外套長の60%前後。外套膜腹中線上に肉畝があるが、雌ではやや不明瞭。腕の部分がケンサキイカなどに比し弱く小さい。腕の吸盤角質環には基部寄りの1/3を除いて方形の歯が8〜10個ある。触腕は極めて小さく、掌部には小さい吸盤が4列あり、角質環には20〜30個の鈍い歯が間隔をおいて並んでいる。雄のIV腕は交接腕になっていて先端1/3の吸盤列の間に鶏冠上の肉質隆起がある。日本全国と東シナ海・黄海。
付記:ケンサキイカとは腕が弱々しいこと、触腕吸盤環歯が鈍歯であることで直ちに区別される。
[A.背面(雄)315mm B.交接腕] A:堀川博史(土佐湾) B:Sasaki(1929)
出典:「世界イカ類図鑑」 奥谷喬司 著
ニュージーランドスルメイカ
- ニュージーランドスルメイカ
- Nototodarus sloanii(Gray,1849)
- FAO名(英)
- Wellington flying squid
- 別名
- ニュージーマツイカ
- 外套長
- 40cm
外形スルメイカによく似ていて、背中線に暗色帯がある。鰭長は外套長の42〜48%。漏斗溝に縦溝があり、漏斗軟骨器は⊥型。腕の大吸盤の角質環には11〜14歯があり、中央の1歯が他よりも大きい。触腕の吸盤列は4列で大吸盤の角質環には14〜15個の同大の鋭歯がある。雄の左右IV腕は交接腕に変形。左腕は基部のみ鋸歯状肉質突起となっているが、右腕は先端部に肉嘴列がある。ニュージーランド近海。
[A.背面 B.右交接腕] A:遠洋水産研究所(ニュージーランド) B:Smith et al.(1987)
出典:「世界イカ類図鑑」 奥谷喬司 著
アメリカオオアカイカ
- アメリカオオアカイカ
- Dosidicus gigas(Orbigny,1835)
- FAO名(英)
- Jumbo flying squid
- 市場名
- アメアカ
- 外套長
- 100cm
外形スルメイカ型であるが、大型。鰭は大きく、漏斗溝には縦溝もポケット状側襞もある。腕は先端細まっていて、小吸盤が100〜200個もある(この点が外見非常に似ているアカイカは先端の小吸盤が30〜50位しかない点で直ちに区別される)。大吸盤の角質環は8〜25個の歯がある。雄の右又は左の第IV腕が交接腕に変形して、その保護膜は著しく肥厚し、側方に13個の穴がある。触腕掌部に4列ある大吸盤の角質環には90°ごとに特大歯がある。発光組織は顆粒状で外套腹面の筋肉中に極めて疎らに分布する。カリフォルニア半島〜南米太平洋岸。
[A.背面 B.交接腕口面 C.同側面] A:遠洋水産研究所(チリー沖) B,C:Wormuth(1976)
出典:「世界イカ類図鑑」 奥谷喬司 著